一
特集インタビュー  01 > 02
 金成の農業をリードする存在。その人格を形成するものは何か。それを紐解くために、青春時代、そして当時の農業について話してもらった。


「真面目な学生だったな(笑)。とにかく野球が好きでね、その一言だね。」

「家の仕事に対する興味は無かった。でも、家は代々農家で、また同じ境遇の友人も家業を継ぐのが当たり前の時代だった。だから進路については大きな迷いはなかったね。ただ、唯一迷った事が高校の次へ進学するかどうか。まあ、進学しても結果的に家業を継ぐ事は決まっていたから、どうせやるなら早く米づくりをやってみたいという気持ちが芽生えてきたんだね。」

「当時の田植えは今のように機械じゃなく、人の手だったんだ。70〜80人くらいかな、それくらいの人手が必要でね。とても大変な時代だったけど、皆で唄いながらのんびりとやっていたものだよ。」
「昭和48年に結婚して、子供を授かり、とにかく子供たちの成長と共に、学費や生活の為のお金を稼ぐ事に必死だったね(笑)。今では子供達も大人になり、米に対する目標に専念している。」
 栗原地区は良質の米地帯。毎年全国の中から特A地区として指定される豊な土地。生産量・販売量の増加に伴い、今では関東・関西方面まで販売範囲が広がっている。だが、同時に競争相手も年々増えている状況にある。
「今、一番広い範囲で展開しているのは『(株)やまや』さん。関東圏では『ユニバーサルフーズ(株)』さんと協力しているね。『昭産商事(株)』さんとの取引きは、岩手や宮城県中心。東海地方での取引きは『東海食糧(株)』さんと。月に取り扱う米の量は平均で約250t。でも、まだまだこれからだよ。」
「やっぱり大手には取扱い量はかなわないけど、地域に密着している分、生産者が固定できるというのが強みだね。どこで誰がどのように作ったのか…。『生産者の顔が見える米』という事を信念としている。安心安全は、当たり前の事だよ。安全を測る一番の方法は、田んぼの中にいる生き物を観察する事。たとえ農薬を半分にしても、生物がいなければ決して安全とは言えない。夏期、この地域に現れるホタルが安全の証なんだよ。」
 厳しい表情からは、この仕事への熱意や誠実さが感じられた。それは、米に対する信念なのだろう。そのまっすぐな眼差しは、壮大な自然と向き合い、米一粒ひとつぶと向き合い、そして農業の未来をも見据えているかのようだった。その未来を担う存在、後継者への想いとは…。


「始めてまだ月が浅いから、米についての知識は徐々に蓄えていけばいい。それよりも重要な事は、地元の生産者とどのような関係が築けるか。仕事のノウハウだけでなく、信頼も同時に託していきたいから。私達だけ利益を上げようとしても、到底無理なんだよ。生産者とお互いに支え合える人間になり、共に潤おう事を大切にしてほしい。」
七代目:阿部 浩之氏
「この仕事を始めて一年。面白い事もあれば、疲れる事もあって、とにかく大変ですね。でも、やれる事からきっちりやって、そして楽しんでやりたい。仕事も、遊びも、一生懸命楽しくいきたいですね。」
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