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「紳士的賭博観測記録」 vol.09(06.07.03 UP!)
■ボツ原稿/変態紳士の軌跡
※注意:「笑い」や「変態要素」はまるでありません。いつもの変態的な記録をご希望の方は迷わず飛ばしちゃって構いません。
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【地獄へ手招きするY社 〜前編〜】
私は確かに「ニューパルサー」の前にいた。
1993年、ヤマサから4号機第一弾として登場。言わずと知れた超ヒットマシンである。多彩なリーチ目に加え設定判別や技術介入要素が高く、スロットコーナーの半数近くはこのマシンで埋め尽されていた。
現在のスロットとは異なり、当時は液晶や当選告知等の演出が無いものが主流であり、「これ入ってる?」とか「それはこぼし目だよ」など、リールの出目やすべりのみでフラグを察するというプレイスタイルであった。
ビギナーから見たスロットは『難しい・意味不明・揃えられない』という3つのハードルがあり、スロッター=玄人という図式が自然と形成されていた。
誰もが最初はビギナーである。約十年前、「ニューパルサー」の前に立ち尽くしていた私も、間違い無くビギナーであった。
実は私はパチンコ・スロットというものにまるで関心がなく、健全に女性のお尻を追い掛け回す行為に没頭する毎日。一生懸命稼いだバイト代をギャンブルに注ぎ込むなどと大それた事など出来る筈もなかった。
ところが、いつものように女の子を追い掛け回していると私の兄から一本の電話。兄は「タコスロマスター」を名乗る程の猛者で、筋金入りのスロッターである。活動時間の約8割をホールで過ごす、俗に言うところの「プロ」。
「今度スロットを打ちに行く時、お前も来い」
スロ童貞の私からすれば「意味不明なので辞退したい」という想いで一杯なのだが、そのような甘っちょろい言葉は彼の耳には届かない。
「判らないのなら覚えろ、実機があるから練習しろ」という程のイカれた教育者ぶり。なんとも形容し難い迷惑っぷり。
まるでド素人の私ではあったが、兄からの有り難いスパルタ教育によりなんとかハリボテスロッターの完成。いよいよ実戦デビューの日を迎えるこことなった。
ホールに相応しく無い童顔を隠すために深く帽子をかぶり、できるだけ目立たないようにと地味なジャケット姿で入店。
流れる軍艦マーチ、軽快に煽るマイクパフォーマンス、タバコの煙りに玉のぶつかる心地悪い音。そう、ここは全てにおいて居心地の悪い空間であった。客は皆眼をギラつかせ必要以上に睨みつけ合う光景を、私はとても恐ろしく感じていた。
「おい、この台打て」
言われるがままに着席。メダルの借り方も、その投入の仕方も見よう見まねでなんとか実行する。おぼつかないその手は間違い無く素人のものではあったが、そんな事は気にしていられない。昨夜覚えた「左リールを止める箇所」を必死に狙う。
「違う、そのチェリーじゃない」
何が面白いのか全くわからない。横から「ちがう」だの「こぼした」だの言われながら必死に打つ。二千円目のメダルも無くなり、三千円目を入れるかどうかとても悩み、迷ったのを今でも鮮明に覚えている。もしもその場にI氏がいたとすれば「迷わず行けよ・・・」と張り手をされ、その痛さに涙し、失禁していたであろう。
結局その千円を入れたのだがボーナスは当選せず、兄のプレイを観戦。小気味よい音楽と共にボーナススタート。ジャラジャラと出て来るメダルはおよそ400枚だそうだ。換算すると約八千円、かなりの高額だ。
「あいつを見てみろ、二箱がっちりで大体六万だ。あれは6だな」
何を言っているのか良くわからなかったが、近くにいる男が六万分のメダルを持っていることだけは理解した。あんなメダルが数万にも相当することには確かに驚いたが、一瞬で三千円を失った怒りと後悔の方が遥かにそれを上回った。
ほろ苦いデビュー戦から数カ月後、同じ高校に在学する親友が中退するという事件が起きる。スロットが原因である。説得虚しく去っていく彼の後ろ姿に、あの時の六万分のメダルを持つ男の姿と、負けた時の感情が交錯する。
なんとも後味の悪い感覚が胸を締め付ける。とにかくもうスロットは辞めて女の子遊びだけに専念しようと、天高く突き抜ける秋の空に誓った。
し か し 数 年 後 ・ ・ ・(後編へ続く)
取材ホール/K市H町:【R】田舎のパチンコ屋
プレイ機種/ニューパル:取材投資3,000円 回収0円
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【編集後記(言い訳)】
いやぁ〜、この「軌跡」シリーズ、なんとボツっちゃいましたよ。けんさん曰く『暗い・笑いが無い・変態要素の欠片も無い』とのことでした。しかしですね、私だっていつでもどこでも変態モード全開ブリブリって訳にはいきません。たまには「おセンチ」にもなってしまうのですよ。
「ボツなのに掲載するとは何事だ」とお叱りを受けるのかもしれませんが、とにかくこれに変わる原稿が無いので仕方なくではありますが更新の許可を頂きました。土下座しました。上記の通り変態要素もなく、当時の自身の目線で描いておりますので至ってノーマルな表現ですが、何卒ご理解の上続編をご覧下さいませ〜。 |
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