|
|
|
|
 |
|
|
|
|
|
 |
|
|
 |
|
|
神出鬼没の変態紳士「やまさん」が贈る脳汁全開コラム。日夜「取材」と称しホール徘徊に勤しむ高純度のスロ中毒者。もしかすると、今夜あなたのホールに訪れるかもしれません。 |
|
|
 |
|
|
|
|
|
「紳士的賭博観測記録」 vol.23(06.10.20 UP!)
【ギター小僧のラプソディー】
肌寒い秋風の中、街路樹達も葉を落とす季節になりました。読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋など、この季節の魅力を謳う言葉は多くあります。
パチスロの秋とか宣う廃人予備軍は、さっさとホールに直行して下さい。だってね、今回の紳士記録はパチスロと全然関係ないんですもの。「またかよ」という声が聞こえて来そうですね。
本題に戻りますと、秋について。冒頭にも記しましたが、秋にまつわるワードって色々とあるものです。どれもこれも魅力たっぷりに謳っていますよね。
しかし、私の心情はそういった類いのものではありません。読書なんてものは、年がら年中エロスで下劣な雑誌しか見ない私にとっては関係ありませんし、食欲も常に全開。スポーツに至っては、夜の運動かウィンナースポーツ(独り運動)しかしていません。でっ、でっ、でもウィンナーよりはちょっぴり大きいんですよっ!
そんな下衆な私でも、ちょっぴりおセンチになる時期、それが秋。
さかのぼる事15年前、中学一年生という青すぎる時代。私のクラスには病気がちで入退院を繰り返す少年がいました。小学校の終わり頃から休みがちで、月に一度顔を見せる程度。どのような病を煩っていたのかは知らされていませんでしたが、子供心に「ただごとではないかも」と思っていましたっけ。
学校から配布されるペラ紙ってありますよね。保護者宛に綴られた、なんだか意味不明で漢字が多く、言葉も難しいアレのことです。熟れた保護者を感じさせ、ムズムズさせるアレではありませんのであしからず。
この意味不明な怪文書が結構重要らしく、休んでいる生徒の近所に住む生徒が持って行かなければなりません。現代テクノロジーを活用すればメール一発で済むんですけどね。しかも猥褻画像なんか添付しちゃったりして。
「お〜い、お前が持ってってくれ。」
担任の先生はそう言い放つと、一枚のプリントを私に手渡しました。そう、病気がちの彼への一枚です。彼の家は帰り道でも近所でもなかったのですが、少し遠回りをすれば行くことのできる場所。
「さーいーとーおーくーーーん!! いーまーすーかーーー!!!」
やはり病院に行っているのでしょうか、誰も出てきません。仕方ないのでポストに入れようとすると、家の中から微かに音が聞こえてきます。
「いるんじゃねぇか! こんちくしょう! あんちくしょう!」
怒り心頭で呼び鈴を猛連打しましたよ。高●名人もお漏らししちゃう程に16連射しましたよ。程なくして彼が顔を見せたのですが、なんだか顔が青白く、目に力が宿っていませんでした。
「…ごめん、ギター弾いてて気付かなかった…」
「えーっ! さいとうくんはギター弾けるの? ロックじゃん、すげーじゃん、見せて見せて!」
病人の家で大興奮の私は、紛れも無く大迷惑極まりないガキンチョでした。しかし、テレビや雑誌の世界だと思っていた音楽の世界がすぐそこにあるかと思うと、いてもたってもいられません。
半ば強引に上がり込み彼の部屋へ行くと、そこにはロックバンドのポスターやCD、譜面が散乱する、まさに音楽野郎チックな光景がありました。
「BOφWYって知ってる? 弾いてみようか?」
♪ででででーででででっでで〜
「♪もてあましてるなんちゃら〜ふふふふんふふん〜」
はっきり言って格好良すぎでしたね。痺れましたね。「ふふふん」の所は「ガスいじってぇ〜」にしか聞こえませんでしたが、ロックの魔力に魅せられてしまいましたね。中学一年生の少年は一瞬でロックの虜になり、その日の夜にギター雑誌を購入。通販ページを75回程見て、親に直訴しました。
「買ってちょ! 買ってちょ! 買ってくれなきゃ、もっとダボダボのボンタンはいてやる!!」
痛烈なアホっぷりに観念したのか、ダボダボに対する嫌悪感をくすぐったのか、なんとか買ってもらうことに成功。最低限のアイテムが揃う、初心者向けのセットでしたが、最高に嬉しかったのを今でも鮮明に覚えています。
来る日も来る日も、指先の感覚が無くなるまで練習を続ける毎日。春が終わり、夏を迎えるころには様々なコードをマスター。彼の部屋での音楽談義は外の気温より熱く、こんな毎日がずっと続くかのように思っていました。
当然の如く夏は終わり、容赦なく秋がやって来ます。夏休みの終わりを迎える頃の憂鬱はピークに達し、彼にも愚痴をこぼしてしまいます。
「二学期だりぃ〜。宿題もほとんどやってないし。」
「…あのさぁ…」
「なに? さいとうくんも宿題やってないの? ふひひ。」
「…いや、隣の市に大きな病院があって、二学期からはそっちに行くんだ…」
二学期が始まり、ギターもいくらか上達した頃。そろそろ初心者用ギターも卒業したいお年頃ですよね。でも、唯一の音楽仲間だった彼がこの町から姿を消し、周りの友人はビーバップなヤツらばかりなので相談する相手がいません。
ギター選定のために雑誌を見ると、著名ミュージシャンの多くは「フェンダー」か「ギブソン」を使っているようです。勿論、私はどちらも好きなのですが、彼のある言葉が記憶の中で響きます。
「…このメーカーは高いけど音がいいよ。僕はこれが欲しいな…」
私は、はっきり言って音よりも格好が良ければそれでいいと思っていますので、選ぶ基準はあって無いようなものです。たった一つあるとすれば、彼が欲しがった「フェンダー」は手にしないという事。
春に出逢い、春に別れる。あたたかく、そして残酷でもある季節だからこそ、春ってヤツは青春の節目に相応しい。しかし、運命のいたずらなのか、皆と同じように節目を迎えることが叶わなかった彼。落ちる葉っぱをぼんやりと眺めていると、その姿がよぎります。
ずっと家の中で、ずっと独りでギターを弾いていた気持ちをあれこれ想像するような烏滸がましい考えはありません。ただ、ボンタンの「わたり」や「すそ」の事しか興味が持てなかったアンポンタンでアッパッパーな私に、音楽の面白さを教えてくれた彼の身の上を案じていたのです。
「♪もてあましてるなんちゃら〜ガスいじってぇ〜」
あの日の歌を口ずさんでいると、無性にギターをさわりたくなってきます。押し入れの中にひっそりと佇んでいる3代目ギター「ギブソン」を引っ張りだして、今夜はギターでも弾いてみようかしら。ぼろろ〜ん♪
「やかましいぃぃぃぃー! 何時だと思っとるんじゃぁー!!」
深夜のギターは禁物です。
取材ホール/H町:【S家】友人宅
プレイ機種/初めてのギターと思い出:取材投資 プライスレス |
|
|
 |
|
|
|
|
|
 |
|
|
|
|
|
|
|