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「紳士的賭博観測記録」 vol.60(07.07.21 UP!)
【ポイズン】
「らしくないですね。もっと攻めないと。」
およそ一年前、私に発せられた友人の一言。今回の記録は、ある友人と酒を飲んでいた晩の事です。
このお話をするためには、少しだけ私の経歴に触れておかねばなりません。全てが謎のヴェールに包まれて、まるで小学生のチ●ポコみたいになってしまっているの私の過去ですけど、今夜は少しだけ剥いてみましょうか。
数年前、グラフィックデザイナーを目指していた私はデザイン関係の専門学校に入学しました。実はこの業界に足を踏み入れる以前は、ヘアー関係のお仕事をしていました。ヘアーとかってカタカナで言うと、ちょっと気取った感じがしますけど、まぁ理美容業ですよね。
しかし、どうしようもないほどに半端者であった私は志半ばで挫折。まぁ、半端なクソ野郎っていう部分では、今も昔も変わることのない不変のクオリティなんですけどね。その結果、数年の遠回りしてしまい、入学時には周りの生徒よりも3〜4歳くらい上だったのです。
クラスのみんなは高校を卒業したばかりの若者達。中には大学を中退して専門学校に入学するといった、私と同じように遠回りした人間もいましたが、それでも私がクラスの最年長。なんたって同い年の先生がいるくらいでした。さすがにこれはちょっぴり複雑。
若ければ若い時ほど、歳の差って大きいじゃないですか。例えば60歳と65歳では、外見も内面もさほど大きな差は感じられないものですが、1歳と2歳では、「1年分の差」というよりも「2倍の差」がある訳ですよね。年月云々というよりも、実年齢に対する比率によって、差を感じたり、感じなかったりするものです。
それでまぁ、20歳前後っていたら、微妙なお年頃じゃないですか。大人と言えば大人、子供と言えば子供。年齢的には、「18歳未満入場禁止」なお店に入ることができます。その店では、アレを入れたり出したりするじゃないですか。「初めての経験で、ドキドキした。また行きたい。」という若者や、「今日はいっぱい出たな〜、グハハ〜。」と言って、満足顔をしているオジサン。
ちょっとちょっと、ディスプレイの前でニヤニヤしているあなた。これはパチンコ店のお話ですよ。間違っても卑猥なお店でアンナことやコンナこと、ではございません。
とにかく、今すぐパンツをはき直して聞いていただきたい。若さ故なのか何なのか、ほんの少しの歳の差がつくる壁とは大きなものです。過去に通っていた理美容の専門学校では、下は16歳から、上は40代までという幅広い年齢層の生徒が集まる学校でしたので、歳の差なんてものは全然気にしていませんでした。しかし、今回のデザイン学校ではおよそ9割の生徒が高校卒業後の若人だったのです。
『果たしてクラスに溶け込めるのか』
そんな不安を抱いていた私は、私と同じように遠回りしてきた1歳違いの「藤くん(仮名)」と共に入学早々「花見」を企画。こういったものは何事も最初が肝心。多少強引だとしても、一気にクラスの輪に入っていかなければなりません。もしもそれができなかった場合、孤独で寂しい2年間が待っているのです。
このサイトのヘビーユーザーならご存知の通り、私は静寂を愛する変態です。大勢での行動なんて大それた事なんてしませんし、集団のリーダーとなって皆を引っ張って行くことなんてできるはずもありません。もう半分以上ヤケクソでしたね、この企画。
でもやるしかない。やらなければ、「単なる変な人」という認識だけで2年間が過ぎ去っていくのです。やるなら今しかないのです。
「静粛に静粛に。え〜、クラスの皆様、少しばかりお耳を拝借。突然ではありますが、本日終業後、●●球場ヨコでお花見大会を開催する運びと相成りました。友人、知人等をお誘いの上、皆様のご参加をお待ち申し上げます。え〜、ご清聴感謝いたします。」
(き、決まった…。これでクラス内どころか、学校中の生徒が集まるでしょう。私の威信は天までをも掴む勢いじゃ〜!!)
まぁ、当たり前なんですけど、普通に15〜20人くらいの生徒が集まっただけでした。でもすごいじゃない、やればできるじゃない、私。
東北の4月ってまだまだ寒いんですよね。太陽が顔を出している時間帯にもかかわらず、身を縮めながら酒を飲んでいました。桜を眺めながら「今年から生まれ変わりますよ〜」などと決意を新たにしていたんですけどね、みな桜には興味がなく、ワイワイと飲んでいるだけなんですね。まぁ、そこは若さ故のこと。
音楽、ファッション、バイト、クルマ、カラオケ…。揃いも揃ってピーチクパーチク騒いでやがります。私は桜を眺めながら「あいつらウルセー」と、グビグビと飲み続けるだけ。幹事としては失格、いや、そもそも人の上に立つ事自体が失格。もともと「大勢で何かをする」なんてものに性が合わなかったのです。
酒を飲んでいると、時間なんてものはあっという間に過ぎて行きます。気付けば辺りは薄暗くなっておりました。酒を飲む事に夢中で全然気がつかなかったのですが、なんだか数人づつのグループが形成されており、各々盛り上がりを見せているようです。そして、グループ毎に次なる目的地についての討論会が開かれているようでした。
「あの〜、みんなカラオケに行くって言ってますけど、やまさんは?」
「わ、わ、私は結構でございます。どうぞ楽しんできて下さい。」
そう声をかけてきたのは「西(仮名)」君。どうみてもみんなと同じ歳には見えませんでしたが、確かに高校を卒業したばかりとのこと。「君」なんて柄じゃなく、「氏」が相応しい感じ。
「僕もカラオケは遠慮しときます。どうです? これから藤くん(仮名)家で飲み直しませんか?」
「西氏がそうおっしゃるのであれば…」
という事で藤くん宅へお邪魔する事に。あれこれと話してみると、西氏が住むアパートは私の住まいにとても近く、徒歩で数分の距離にあるといいます。また、少しだけキチガった趣味嗜好のテイストも似ており、この一晩で急激にフレンドリーになっていくのでした。
在学中はもちろん、卒業し就職した今でもちょくちょく飲みに行く仲。冒頭の台詞も、この「西氏」との晩餐の中での発せられたもの。
いつものようにグダグダと語る中、酒のせいもあってか不満や悩みも飛び出します。ちょうどその頃は、自分自身の事よりも、周囲のスタッフに関する悩みが大きい時期でした。
自分の事でしたら、「とにかくやるしかない、前進あるのみ」と我が身に鞭打てば、たいていの事はなんとかなると思っていました。しかし、これが他人の事となると、なかなか上手くいかなかったんですね。
「こうなって欲しい、とかは思うんですよね。でも、年齢的なことや、立場的なこともあるじゃないですか。ですから…ブツブツチョメチョメ…」
「ガツンと行けばいいじゃないですか。なんか、昔のやまさんと変わっちゃいましたね。」
「がび〜ん。」
そうなんです。ガツンと行けない私自身に問題があったのです。いつもどこかで、誰かのせいにしている自分がいたのではないか。そんな事を考えていると、なんだか自分が情けなくなってきます。
その事に気付かされてから、およそ一年が経とうとしています。今でも、その頃と変わることなく、常に何かに対して悶々としています。でも、少しづつではありますが、明確な主張や指導も実行するようになりました。それもこれも、あの日の西氏の言葉のおかげかも知れません。
言いたいことも言えない世の中なんて、…ポイズン。
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