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「紳士的賭博観測記録」 vol.63(07.08.09 UP!)
【ピカッと光って】
私は、小学生の頃からインテリジェンス溢れる少年でした。
同級生たちがアホ面並べて校庭で駆け回っている頃、私は図書室で読書に勤しんでいました。決して孤独だったわけではありません。こんな私でも、一緒に遊ぶ友人の一人や二人くらいはいたような、いなかったような…。ほっといてください。
と、とにかくですね、私は図書室を愛する少年だったのです。
暇さえあれば図書室に入り浸る日々。ここに置かれている書物を読破したのは、確か3年生の頃だったでしょうか。軽く1,000冊を超える書物の中、イラストと文章の比率が9対1となっているものに条件を絞り込み、この厳しい審査をくぐり抜けた50冊程度の絵本達。これを読み終えたのが3年生。
でも、絵本ばかり読んでいたわけではありません。たまに必要となる辞書などは、人間の性器に関連する項目だけは熟読していましたからね。下手な医者よりも詳細な知識を蓄えたものです。
まぁ、そういった経緯もあり、この頃には学校の図書室では満足できなくなってしまったんです。そこで、この知識に飢えた少年を満たすための新天地を探さなくてはならなかったんです。
いくら私が知性の塊のような少年だったとしても、現実的な問題である「経済力」は持ち合わせておりませんでした。さすがに小学生では収入を得ることはできませんので、本を手に入れるには、買ってもらうか、借りるか、盗むしかなかったんですね。
どうすれば「知の探究心」を満たす事ができるのだろうか。悶々と考える日が何日か続いたある日、友人がとんでもないことを言い出したのです。
「おい知ってるか? 役場の図書館、アレはスゲェぜ。エッチなマンガもあるんだぜ!」
「ふむ、エッチなマンガはどうだっていいんだが…。そうか、あそこに図書館があったとは…。」
涼しい顔をして友人に別れを告げた私は、いてもたってもいられなくなり、役場の図書館へ猛ダッシュしましたね。「風になる」ってこういうことなのか…、なんて考えながら、バターのように流れゆく景色の中を疾走しました。
そう、全ては、そのエッチなマンガを見るためだけに。
まぁ、実際のところ「エッチ」なんて言っても、小学校3年生の話ですよ。少しだけお色気シーンが描かれているだけなんです。例えば「うる星やつら」を10点としますよね、そして校内写生(遊人)を80点とします。そうすると、その「エッチなマンガ」と呼ばれる代物は、15点くらい。
でも、小学校3年生にはとんでもない衝撃があるわけで、1巻を読み終わって2巻を取ろうと席を立つじゃないですか。でも、違うモノがおっ勃っちゃって、席を立つことができないんです。大人にとっての15点でも、子どもからすれば「0」が一つ足されたような破壊力。
仕方ないので、その「エッチなマンガ」と交互に、違う作品も読むしかありません。下半身にばかり血液が流れていたのでは、読書に集中することができませんもの。
同じコーナーには、「エッチなマンガ」の他に、手塚治虫氏の作品が多く見られました。でも、いくらマンガとは言えども、手塚治虫氏の作品は小学校3年生には厳しすぎるページ数なのですよ。いくら知性溢れる私でも、あまり分厚いものは敬遠してしまいますよね。
「ふむ、もう少し内容をコンパクトにまとめる力を持った作家はいないのかね。」
そう呟きながらコーナー内を物色していると、ありましたよ、手頃なページ数のマンガが。
「はだしのゲン」
「ふむ、はだしか…。はだかでも良かったんだがな。」
そんな下らないことを考えながら手にしたその作品は、小学校3年生の心をいとも軽々と飲み込んでしまうのでした。
この作品は、全国的に有名なものですので、ここでアレコレと説明する必要もありません。日頃、パチスロのことばかり考えていて、「なんとかマガジン」だの「なんとかガイド」しか読んでいない諸兄は知らない可能性がありますので、興味があれば検索してみてください。
一巻を読み終える頃、今まで感じたことのない絶望に包まれました。「エッチなマンガ」と交互に読むはずだったことを忘れ、二巻、三巻と読み続けました。
あまりの凄惨な内容に、多くの冊数を読むことはできませんでしたが、何冊か読み終える頃には、どうすることもできない、どこに向けて良いのかも分からない「怒り」が、小さな小さな心を震わせていたのです。
私の生まれた故郷は、この国で被爆した2つの県と、とても近い位置関係にあります。小学校内で、平和記念公園の資料館に展示されているものの一部を展示したこともあります。もちろん、平和記念公園を訪れる機会もありました。
涙でよく見えなかったけれど、しっかりと目に焼き付けておかなくてはならないと思った。
立っていられなくなってしまう生徒もいたけれど、僕たちが立っていなければならないと思った。
そして今、この国の行末を、少しだけでも考えなければならないと思った。
そんな8月が、今年もやってきましたね。
取材ホール/T県H町:【H町役場】
プレイ機種/読書:取材投資 0円 回収 がんばれにっぽん |
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